めっきり寒くなってきた今日この頃、子どもに「晩御飯何食べたい?」と聞くと、長男はすかさず「おでん!」と言います。かなり高い割合でいいます。
前の晩から仕込めるので、母としては楽ちんな料理。山形の父ちゃん母ちゃんから大根が届いたので、今晩もさっそく作りました。

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我が家のおでんの具で人気なのは、ゆで卵、丸いの(お豆腐の入った練り物を気にいっていつも投入)、結びこんにゃく、餅巾着、もちろん大根、そしてしみ豆腐!これはかかせないアイテム。

しみ豆腐とは、一般的に高野豆腐と呼ばれるものです。愛知にきてまだ間もないころ、しみ豆腐が欲しくてスーパーに行くも探せず、店員さんにしみ豆腐ありますかと聞いても通じず、どんな食材か説明してようやく売り場に案内してもらったことがあります。そんなほろ苦い思い出をよみがえられてくれるしみ豆腐。

おでんにしみ豆腐を入れるのは、山形の食文化?かどうかはわかりませんが、私が住む愛知では「えっつ!」とびっくりされるおでんアイテムです。だしやおでんの具が醸し出す色んな味をすいまくったしみ豆腐は、うまいに決まっています。子どもたちは取り合いで食べるので、いつも多めに入れておきます。

私が小さいころのおでんと言えば、やっぱりしみ豆腐が入っていました。そして、大量の大根、大量の卵、大量のこんにゃく…。全てが大量すぎるおでん、そのでかい鍋をみて「何人家族だっ!」と突っ込めるようになったのは成人したくらいの時分です。小学生のころは、そんな大量ぱんぱんのおでん鍋を普通のものとし、鍋から味のしみたゆで卵を選び、ゆで卵をご飯の上で割りほぐし、そこにおでんの汁をかけ、汁だくゆで卵ごはんとして食べていました。これうんめ~の。無邪気に何個も食べて、「ひろみ、屁くさくなっぞ。」と母ちゃんに言われたなぁ。

そうやって暮れていった肥えている井上家(部員オノヒロミは、旧姓井上であります)の晩御飯。しかし、このぱんぱん大量おでんは、ここで終わりません。
翌日、具が8割方なくなったおでん鍋にまた大量のしみ豆腐。そして時々豆腐。さらに、気がつけばゆで卵。えっ、また元通り?

そうなんです。この犯人は、我が家の父ちゃん。父ちゃんは、なんでも増やす、増やし魔で、味噌汁も飲み切ったかと思いきや、なんか投入されて量が増えていたり、すんげ~酒飲みなので、つまみとしてよく自分でつくる煮込み(豚?牛?の臓物を煮てこれまたしみ豆腐なんかを入れる料理)もなんだかんだ増やされて永遠に鍋におさまっていたりするのです。

こうして翌日父ちゃんによって増やされたおでんは、見た目なんかぐちゃぐちゃで、汁も薄いし、がくんと人気を落とし、あんだけ大量に増やした本人も手におえず、母ちゃんが威力を発揮して平らげることがない限り、悲しくガスコンロの上に鎮座し続けるのでした。

おでん、フォーエバー。

そして再び我が家のおでん。家で一番大きな鍋で作っても(あっ井上家のおでん鍋よりは大分小さいですが)、子どもたちの激しい奪い合いによってあっという間に、だしをとった昆布とシイタケが残るのみとなってしまう我が家のおでん。増やすことも不可能なほど食いつくされたおでんに、んだがんだが、と満足する私でした。

山形部部員 オノヒロミ